経済で読み解く日本史

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経済で読み解く日本史


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    お金の流れがわかれば歴史がわかる。経済が発展すれば政治制度も変化せざるをえない。貨幣量の変化を中世まで遡り、当時の景気循環を説明。室町幕府の衰退とともに、内乱と宗教戦争が頻発し、戦国時代に突入した原因はデフレ経済にあった。
・貨幣量の変化で、中世の金融政策と景気を説明する
・比叡山VS京都五山、経済マフィア化する寺社勢力
・日明貿易の衰退が室町幕府の弱体化を招いた
・それに伴い開始された寺社勢力と武士の「仁義なき戦い」
・一向一揆、法華一揆の背後の「巨大な越後屋モデル」
・中世を発展させ、終わらせた「経済的インセンティブ」

    織田信長は日本の政治形態を変え、戦国時代と中世を終わらせた。画期的な経済政策は豊臣秀吉に受け継がれ、明の貨幣制度及び国際貿易体制の大変化に日本はようやく追いつく。秀吉は天下統一の勢いのまま征明を目指すが、そこには大きな落とし穴が待っていた。
・日本産の銀が明の貨幣制度と世界経済を変えた
・信長が岩盤規制を壊し、秀吉が完成させた新たな経済体制
・経済成長の基盤となった「豊臣化」と宗教勢力の弱体化
・天下統一を急いだ背景にキリスト教国の脅威
・なぜ秀吉は明を制圧しようとしたのか?
・戦闘は連勝でも戦略で大失敗していた日本軍

    江戸時代、経済の主導権を握ったのは一般庶民だった。幕府の経済政策が「財政規律派」と「成長重視派」に入れ替わることで起きていた好不況の波。ビジネスチャンスを求める人々は次々とイノベーションを起こし、民需による経済発展はやがて幕藩体制を崩壊へ導く。
・世界に冠たる金融、物流、市場、保険システム
・なぜ幕府や藩はいつも財政難なのか?
・「貧農史観」「貴穀賎金」の本質的な誤り
・百姓や商人が豊かになり、武士が貧乏化した理由
・著しい経済成長で幕藩体制が倒れ、維新が起きた
・「経済力」の使い方を知らなかった徳川幕府の敗北

    人々は経済的に困窮すると、過激思想に救済を求める。金本位制は通貨供給不足になりやすいデフレレジュームのため、世界経済は繰り返し恐慌に見舞われ、そのために過激思想が台頭した。秩禄処分への不平士族の「お金の恨み」が日本を対外戦争にかり立てて、新聞にあおられた世論はやがて英米と離反・対決する道を選んでしまう。
・「資本主義の限界」は金本位制の限界に過ぎなかった
・デフレと社会主義傾斜を促した通貨供給不足
・秩禄処分への士族の怨念が対外戦争の原因だった
・高橋是清の「奇跡の起債」を理解できなかった新聞
・ハリマンを裏切り、国際協調の機会を自ら放棄した世論
・新聞に煽られ、米英と敵対した近視眼的国民感情

    なぜ日本は大東亜戦争へと向かったのか。国民世論は長期停滞のトラウマから抜け出せないまま、間違った情報により、日米激突上のレールをまっしぐらに進んだ。全てを失った敗戦から復活し、高度経済成長を成し遂げた日本を、再びバブル経済の暗雲が襲う。
・「軍部の台頭」はファンタジー
・本当は避けられた恐慌頻発と金融危機
・労働者と植民地を苦しめた「デフレ不況」
・五箇条の御誓文の改革精神を忘れた日本人
・国を滅ぼした、右翼と左翼の全体主義
・高度経済成長の本当の教訓とは






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そして「損得」という価値観は時代ごとの特徴があります。

 歴史的事実の背後にある「意図」(経済的インセンティブ)を把握することが大切です。


 「貧乏よりは金持ちの方がいい、お金がないよりかあった方がいい」という考え方は万国共通であり、時代を超える価値観です。これが今も昔も変わらない人間の性質なのです。このアニマルスピリットこそが人類に文明をもたらし、ここまで発展させてきた原動力であります。

従来の歴史教科書的説明では、何かが足りません。大事なことが抜け落ちている。それは何か?
 それは「意図」であります。
 歴史的な出来事を起こした人々はいったい何を考え、何を求めて生きてきたのか?
 すなわち、それが「意図」、インセンティブと読み替えてもよいでしょう。
 頭に「経済的」をつけて「経済的インセンティブ」といいます。
 今までの歴史教科書ではこのことについて十分な答え、説明がなされておりません。
 人々の「意図」はたいてい経済的インセンティブに基づいています。
 つまり、今も昔も逆らうことのできない経済の掟で、人は得することは一生懸命するが損することはやる気を出しません。
 このような人々の行動原理、歴史を動かした人々は、なぜそれレが得だと思っていたのか、本当に得したのか?その答えを探求していきたいと思う。

経済の掟(例)

・お金をたくさん増やせばインフレがおこり
・お金の量が減ればデフレになる
・デフレになるときは自国通貨高になる

 経済で歴史を読み解くという作業は、歴史上の出来事を「経済の掟」という観点から観察する作業です。
 それはある一面では、「時の権力者がいかにして経済の掟と格闘したか」を観察し、
「その政策が日々生きるために商売している名もなき民にどのような影響をあたえたのか」を確認する作業ともいえる。

 世の中はモノとお金のバランスによって成り立っている。

 お金が不足すれば人々はお金の価値が将来的に上がると見込んで消費を先送りし、
 溜め込んで使わなくなります。
 お金を使わなくなるとモノが売れず景気が悪くなります。
 景気が悪くなると、将来的な不安からますます節約する
 場合によっては人々は過激な思想、行動に移り、世の中を変えようとする。
 当初、少数派が、不況が長引いてくると徐々に数が増え、多数化し爆発に至ることもある。

経済で読み解く日本史 上念司 著 飛鳥新社
 経済の掟に基づく、お金の流れが物語るまったく新しい日本史の解説。

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このページは、blogskawano.netが2019年6月 4日 09:06に書いたブログ記事です。

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