公共サービスのイノベーション

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公共サービスのイノベーションについて



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公共サービスのイノベーションプラットホーム参考資料、webサイト

 

 

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/innovation/issues.pdf

 

 

公共サービスのイノベーションwebサイト

 

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/koukyou/index.html

 

 

 

地域創生と自治体の役割

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/serviceology/2/1/2_4/_html/-char/ja

 

 

 

マクロレベルの改革の諸相

 

マクロレベルの改革の諸相

次に,自治体とサードセクター*1との関係性によって設定される「新しい公共」の空間設計を見てみよう.

サードセクターは,伝統的に公益事業の主要な担い手であるため,サードセクターに「自治体組織としての新しい公共」の空間で「効率性の原理」の役割を担わせるのか,「地域としての新しい公共」の空間で「協働性の原理」の役割を担わせるのかは,「新しい公共」の空間設計の重要な要素となる.

自治体とサードセクターとの関係は,特別法によって設立されること,公益活動を行うことなどから,必然的に,規制(許認可や行政指導)と助成(補助金や委託金の交付)という2つの関係を形成する場合が多い.多くのサードセクターは,自治体と間で,そのどちらか,あるいは両方の関係を持つが,そのどちらの関係も持たない場合(国が直接監督する団体等)もある.そして,規制関係,助成関係それぞれについて,「効率性の原理」と「協働性の原理」による空間設計の分岐がある.

「効率性の原理」からの規制関係とは,自治体がサードセクターに指導・監督等を行うだけの一方向の関係にあるものをいい,「協働性の原理」からの規制関係とは,自治体からの指導・監督等だけでなく,サードセクターから自治体への情報提供や政策提言などの双方向の関係にあるものをいう.

また,「効率性の原理」からの助成関係とは,委託金を通じてサードセクターのリソースを自治体組織に内部化し,経費節減等をはかる関係にあるものをいい,「協働性の原理」からの助成関係とは,補助金を通じてサードセクターの固有事業を自治体政策が外部化されたものとして促進する関係にあるものをいう.

2は,以上の関係をモデル的に視覚化したものである.横軸は規制関係を,縦軸は助成関係を示し,両軸とも中心から対極方向に「効率性の原理」と「協働性の原理」を区別している.中心からの距離は,両原理の強度を示している.両原理の強度は,自治体とサードセクターの助成関係のパターンと指定管理者であるかどうかを基準に設定している.具体的には,規制関係の強度については,「助成関係がない関係」<「委託金または補助金の片方のみがある関係」<「指定管理者または補助金と委託金の両方を受ける関係」の順に強いものとし,また助成関係の強度については,「助成関係がない関係」<「委託金のみを受ける関係」<「指定管理者」の順,または「助成関係がない関係」<「補助金のみを受ける関係」<「補助金と委託金の両方を受ける関係」の順に強くなるとした.このモデルに対して,平成269月に独立行政法人経済産業研究所が行った「日本におけるサードセクターの経営実態に関する調査」のデータを用いて,表6に示すような10の自治体-サードセクターの関係類型を設定し2軸の平面上にプロットした.また,バブルの大きさによってその関係類型が全体に占める割合を示した.

自治体の「新しい公共」で最も多く形成されている関係類型は,③「単なる法令上の被監督団体」であり,全体の4割(39.4%)を占める.財政関係がなく,規制関係も一方向の関係である.これは単なる規制行政そのものであり,公共サービス改革の担い手ではない.法人形式別では,協同組合等との関係で最も多く(32.6%),財団法人(18.2%)がそれに次いでいる.

2番目に多く形成されている関係類型は,②「ビジネスライクな事業委託」であり,全体の2割を占める(20.9%).委託金のみを受け,規制関係が一方向の関係である.これは古典的行革である民間委託であり,公共サービス改革以前の形式の担い手といえよう.法人形式別では,社会福祉法人に対して最も多く採用されており(25.5%),学校法人(18.6%)がそれに次いでいる.単純労務の民間委託では企業が受託者になることが多いが,福祉・教育等の行政分野では施設や専門ノウハウを有する社会福祉法人や学校法人が受託者になっている点に民間委託としての特色が見られる.

3番目に多い関係類型は,⑧「圧力団体」で,全体の1割を占める(10.3%).財政関係はないが,規制関係が双方向の関係である.これはサードセクターに限らず企業や住民と自治体の間でも見られる関係であり,必ずしも公共サービス改革の担い手に特有のものとはいえない.法人形式別では,社団法人が最も多く(34.1%),協同組合等(30.6%)がそれに次ぐ.

以上のように,必ずしも公共サービス改革の担い手となっていない自治体-サードセクター関係がいまだ多数であるが,公共サービス改革の担い手も一定の規模で現れている.最も「協働性の原理」に純化した担い手である⑩ 「濃密な関係の政策協力団体」は,全体の3.5%であり,特定非営利法人(NPO法人)との間で最も多く形成されており(27.1%),社団法人がこれに次いでいる(20.3%).また,最も「効率性の原理」に純化した担い手である①「ビジネスライクな指定管理者」は,全体の2.5%であり,財団法人(35.7%)との間で最も多く形成されている.注目すべき点は,この両原理に純化された関係類型より,規制関係・助成関係を協働性と効率性という改革原理で使い分けるハイブリッドな関係類型の方が多いことである.たとえば,図2で対極にある⑤「濃密な関係の行政下請団体」(8.7%)と⑦「事業執行のパートナー」(7.1%)などがこれにあたる.これは,地域や自治体の特性に応じた精妙な改革設計がなされていることを示唆している.

以上,マクロベースで公共サービス改革の諸相を鳥瞰した.ここでも「効率性の原理」,「協働性の原理」により「新しい公共」の組織空間にふさわしい担い手が形成されつつあることを見出すことができる.

グラフ, バブル チャート

自動的に生成された説明

 

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このページは、blogskawano.netが2022年9月28日 17:30に書いたブログ記事です。

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