3-22 東工大 オンラインセミナー メタバースの未来
メタバースの未来を予測せずして
中長期の事業研究戦略はつくれない
「3次元のインターネット」 ともいわれる 「メタバース」 。
巨大IT企業やスタートアップがメタバース構築に取り組み、ゲーム・エンターテインメント業界だけでなく、
医療・ヘルスケア、モビリティー、ものづくり、建設、流通、広告など幅広い業界で
ビジネス化・産業化の動きが進んでいる。
10年後、20年後、現実と仮想世界が融合したメタバースの時代に、社会や産業はどのように変わっていくか。
課題は何か。どのような新ビジネスが登場するか─
本シンポジウムは、メタバースの未来像を研究・社会の両面から読み解き、
中長期の事業・研究戦略立案のヒントとなる情報を提供する。
(参考図書 メモ概要) 岩波書店 メタバース 岡島裕史 著
メタバースは、インターネット上に構築されるサービスのうち、次のキラーサービス(それを目的にインターネットで、いや、ある企業の商品を利用し始めるほどの魅力、影響力を持つサービス)になると注目されるものです。
インターネットが商用解禁された頃は、ウェブやメールがキラーサービスでした。
良いウェブブラウザや良いメーラーを提案した企業が、インターネットで発言権を増すことができました。
それが検索エンジンになり掲示板になり、EC (電子商取引)、SNS、動画配信へと移っていきました。
いちど、何らかの分野で覇を唱えた企業は、毀誉褒貶はありつつも、現在も強大な力として、インターネットを、ひいてはリアルを支配しています。
検索エンジンのGoogle、 ECのアマゾン、SNSのFacebookそれらの窓口としてのAppleとMicrosoftがGAFAMガーハムと呼ばれるものが象徴的です。
そして次のキラーサービスがメタバースと言うわけです。
メタバースをめぐる覇権争いで勝ち名乗りを上げた企業は、次の10年を統べることになるでしょう。
それは営利企業にとって喉から手が出るほど欲しい果実に違いありません。
でも、それだけではないと思うのです。
テックジャイアントもスタートアップもメタバースに夢中です。
彼らは単に儲けの種と言うだけでなく、社会構造を書き換え、世界に爪痕を残すチャンスを渇望しています。
彼らの目には、メタバースはそのための有力なツールに映っています。
メタバースの何がそんなに魅力的なのでしょうか
今まで語られているだけでさっぱり実態が見えてこなかった「リアルと仮想の融合」や「仮想世界に住む」ことにいよいよ指先位は引っかかりそうだからです。
例えば「後で会おうよ」と言った時、まともに生きていた人であれば、スタバかマックでも連想すると思うんです。
私のような重度のオタクは、電子掲示板やオンラインゲームで会ってきましたが、今後はちゃんとした人も「放課後に仮想世界で会う約束をする」の話、スタバで会うのと同じ位違和感ない行いになるかもしれません。
いくらSNSが居心地が良くても、仕事や学校に行くためにリアルに帰って来なければなりませんでした。
でもこれからは仮想世界で就業や就学ができるようになるかもしれません。
まだ仮想世界で食事や排泄ができるようにはなっていませんが、(VR睡眠で「離れた場所にいるけど、一緒に寝る体験」を楽しんでいる人達はいます)
SNS時代よりはずっと長い時間を仮想世界で過ごせるようになるかもしれません。
電子掲示板やSNSゲームも1種の仮想世界でしたが、それがもっと高密度、広範囲になったものがメタバースだと考えると良いと思います。
リアルには移動の困難や身体的な限界、資金的な制約等各種のしがらみが存在します。
仮想世界であればそれらの軛を解き放ち、もっと楽しく、もっと充実した人生を受けられるかもしれません。
メタバースはそういう可能性をはらんでいます。
だからFacebookは社名を書き換えてまで誰よりも早くここに手を伸ばそうとしています。
もちろん良いことばかりではありません。
どんな技術にも言えることですが、正の側面があれば、必ず負の側面も現れます。
リアルでちょっと嫌な目に会っただけで、仮想世界へ寝込んでしまうかもしれませんし、長時間の仮装体験が身体を蝕むかもしれません。
リアルの世界は、その仕組みを長い年月をかけて築き上げていきましたが、急速に構築される仮想世界ではテックジャイアンとの思いのままのルールや正義が出来上がってしまうかもしれません。
単に静観して享受するだけでは、お金や時間、人生を搾取されてしまう可能性もあります。
目的はメタバースを知ることです。
新しいものが現れるときは、怖さも伴います。
でも、知ることで怖くなくなります。
使いこなして自分の生活を良くすることにも使えます。
ビジネスチャンスをとらえて、一山当てることすらできるかもしれません。
メタバースは無視することには、ちょっと大きな潮流です。
知ることで意識せずに楽しくこの大波を乗り越えましょう。
第一章では、今、最もメタバースに近いと言われるコンテンツフォートナイトを軸にメタバースの外観を掴んでいただきます
第二章では、これまでにもあった仮想世界とメタバースでは何が違うのか、メタバースでは何ができるのかを見て行きます
第三章では、なぜ今メタバースが俄かに脚光を浴びるように至ったのかを解説します
技術は、社会の要請によって普及したりすたれたりします
社会と技術の関係を読み解いて行きましょう
第四章では、メタバースを実現しようとしている巨大IT企業の現況と思惑を理解します
彼らがデザインする世界の中で日本は、あるいは個人は、何ができるのかを考えます
以上
プログラム
セミナー❶(30分)
ビジネスとしてのメタバースの可能性 ~最新動向と将来展望
メタバース実現に至る段階でいうと、2023年は、メタバースの構成要素を複数満たし始めた「フェーズ1:黎明期」といえる。
今後は、2025年~2030年の「フェーズ2:普及期」を経て、2030年以降に「フェーズ3:定着期」を迎え、
新たなイノベーションが出現すると予測される。さまざまな変遷をたどるであろうメタバースの構成要素やテクノロジーの進化を展望し、ビジネスや産業構造がどのように変化していくか、業界別のビジネスチャンスはどこにあるかを解説する。
〈講師〉
久保田 瞬 氏Kubota Shun
セミナー❷(30分)
メタバースは社会をどう変えるのか ~人々に与える影響と課題
将来、メタバースが社会に浸透することで、人はバーチャルとリアルの両世界で生活する時代になる。
さらには、人の五感、脳ともつながり、メタバース空間への没入感が深まっていくことが想定される。
没入感の進むメタバースと現実社会における2重生活は、人の心身面、感覚にどのような影響を与えるのか、
また、メタバース空間における社会システム、法制度はどうなるのかなど、
人々へ様々な影響と課題とその方向性について解説する。
※本セミナーのコンテンツは、東京工業大学と日経BPで企画・調査・執筆した
「メタバース動向調査報告書」の一部をサマリーしたものとなります。
パネルディスカッション(45分)
東京工業大学が描くテクノロジー&メタバースの未来
東京工業大学は、他大学や企業と連携しながら、先端テクノロジーの研究力を強化し、
イノベーションの創出に取り組んでいる。
東京工業大学でメタバース関連の研究を進める多様な登壇者の視点を通じて、
この領域の研究開発の方向性や未来を探る。
ポジショントーク❶
VRアバターを介したふれあいを実現する物理シミュレーション技術
長谷川 晶一Hasegawa Shoichi
東京工業大学 科学技術創成研究院 准教授
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ポジショントーク❷
「ダイナミックプロジェクションマッピング」 によるもっと自由な実世界
渡辺 義浩Watanabe Yoshihiro
東京工業大学 工学院 准教授
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ポジショントーク❸
人とアバターの 「疑似恋愛」 は、テクノロジーの進化でどう変わっていくか
小池 真由Koike Mayu
東京工業大学 工学院 助教
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パネルディスカッション
〈パネリスト〉
長谷川 晶一、渡辺 義浩、小池 真由
〈モデレーター〉
朝倉 博史Asakura Hiroshi
日経BP 総合研究所 上席研究員
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