日本経済の死角

user-pic
0
日本経済の死角 河野龍太郎 著 ちくま新書




日本経済が停滞してることを鋭く分析し、その原因は政府の財政金融政策にあるのではなく、企業の賃上げに関する行動と喝破したもの。

 日銀、それも白川時代の日銀が大好きな人には、刺さるんじゃないでしょうか

また、かつてのメインバンク制を肯定的に書いていて、ビックリした
銀行の窓から見る日本の経済風景は、こういう感じなんですかね、



【目次】

1 生産性が上がっても実質賃金が上がらない理由

1 なぜ収奪的な経済システムに転落したのか

アベノミクスの大実験の結果/成長戦略の落とし穴/未完に終わった「新しい資本主義」/生産性が上がっても実質賃金は横ばい/米国の実質賃金は25%上昇/欧州は日本より生産性は低いが実質賃金は上昇/日本は収奪的な社会に移行したのか/儲かっても溜め込む大企業/不良債権問題と企業の貯蓄/筋肉質となった企業がとった行動/守りの経営が定着/定着したのは実質ゼロベア?/家計を犠牲にする政策/異次元緩和はいつ行われるべきだったか

2 コーポレートガバナンス改革の罠

青木昌彦の予言/メインバンクの代わりに溜め込んだ/メインバンク制崩壊とコーポレートガバナンス改革/コーポレートガバナンス改革の桎梏/非正規雇用制という収奪的なシステム/良好な雇用環境の必要性/収奪的な雇用制度に政府も関与

3 再考 バラッサ・サミュエルソン効果

生産性が低いから実質円レートが低下するのか/日本産業の危機

 

2 定期昇給の下での実質ゼロベアの罠

  大企業経営者はゼロベアの弊害になぜ気づかないのか

ポピュリズムの政党が台頭する先進各国/実質賃金が抑え込まれてきた理由/問題が適切に把握されていない/属人ベースでは実質賃金は上昇している/実質ゼロベアが続くのか

  実質ゼロベアの様々な弊害

インバウンドブームを喜ぶべきではない/賃金カーブの下方シフト/賃金カーブのフラット化も発生/実質賃金の引き上げに必要なこと

 

3 対外直接投資の落とし穴 

1 海外投資の国内経済への恩恵はあるのか

一世代前と比べて豊かになっていない異常事態/海外投資は積極的/国際収支構造の変化/海外投資の拡大を推奨してきた日本政府への疑問/好循環を意味しない株高

 

2 対外投資は本当に儲かっているのか

勝者の呪い/高い営業外収益と無視し得ない特別損失/キャリートレード?/過去四半世紀の円高のもう一つの原因/円高危機は終わったのか/資源高危機/超円安に苦しめられる社会に移行/なぜ利上げできないのか/日銀は「奴雁」になれるか

 

4 労働市場の構造変化と日銀の二つの誤算

1 安価な労働力の大量出現という第一の誤算

ラディカルレフトやラディカルライトの台頭/高齢者の労働参加率の高まりのもう一つの背景/女性の労働力率の上昇は技術革新も影響/異次元緩和の成功?/第二のルイスの転換点?/労働供給の頭打ち傾向と賃金上昇/ユニットレーバーコストの上昇

2 もう一つの誤算は残業規制のインパクト

コストプッシュインフレがなぜ長引くのか/働き方改革の影響が現れたのは2023年春/需給ギャップタイト化の過小評価は2010年代半ばから/古典的な「完全雇用状態」ではない

3 消費者余剰の消滅とアンチ・エスタブリッシュメント政党の台頭

ユニットプロフィットの改善/グリードフレーションか?/大きな日本の消費者余剰の行方/小さくなる消費者余剰/消費者余剰の消滅とアンチ・エスタブリッシュメントの台頭 

 

5 労働法制変更のマクロ経済への衝撃 

1 1990年代の成長の下方屈折の真の理由

長期停滞の入り口も「働き方改革」が影響/構造改革派の聖典となった林・プレスコット論文/構造改革路線の帰結/潜在成長率の推移/週48時間労働制から週40時間労働制への移行/労働時間短縮のインパクト/バブル崩壊後のツケ払い 

2 再考なぜ過剰問題が広範囲に広がったか

誰がバブルに浮かれたのか/実質円安への影響/今回の働き方改革も潜在成長率を低下させる/かつての欧州とは問題が異なる

 

6 コーポレートガバナンス改革の陥穽と長期雇用制の行方

1 もう一つの成長阻害要因

これまでのまとめ/メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用/雇用制度を変えようとすると他の制度との摩擦が生じる/メインバンク制の崩壊と日本版コーポレートガバナンス改革の開始/メインバンク制のもう一つの役割/理想の経営からの乖離/冴えないマクロ経済の原因とは

2 略奪される企業価値

株式市場の実態/収奪される企業価値/本末転倒の受託者責任/米国の古き良き時代とその終焉

3 漸進的な雇用制度改革の構想

ジョブ型を導入すると一発屋とゴマすりが跋扈/長期雇用制の維持と早期選抜制の導入

 

7 イノベーションを社会はどう飼いならすか

1 イノベーションは本来、収奪的

果実の見えないテクノロジー革命/ハラリが警鐘を鳴らしたディストピア/イノベーションの二つのタイプ/生産性バンドワゴン効果は働くか/平均生産性と限界生産性の違い/第一次産業革命も当初は実質賃金を下押し/実質賃金の上昇をもたらした蒸気機関車網の整備/汎用技術が重要という話だけではない/資本家や起業家への対抗力を高める/戦後の包摂的なイノベーション/自動車産業の勃興のインパクト

2 野生的なイノベーションをどう飼いならすか

1970年代以降の成長の足踏み/イノベーションで失われた中間的な賃金の仕事/イノベーションのビジョンとフリードマン・ドクトリン/具体案を提示したのはマイケル・ジェンセン/成長の下方屈折とその処方箋/ノーベル経済学賞の反省?/経済政策の反省/野生化するイノベーション/収奪的だった農耕牧畜革命/AI新時代の社会の行方/既存システムの限界/付加価値の配分の見直し/反・生産性バンドワゴンを止めよ

 

 



トラックバック(0)

トラックバックURL: http://mt.s-kawano.net/mt-tb.cgi/538

コメントする

月別 アーカイブ

このブログ記事について

このページは、blogskawano.netが2025年4月 2日 09:04に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「資本主義経済の政策提言」です。

次のブログ記事は「GAFAMからMATANAへの業務領域の移行と、 その課題と戦略」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。