社会教育の展望: 2019年2月アーカイブ

寺中構想と公民館の設置及び運営について

 

  公民館は、戦後の荒廃し混乱した社会状況の中で、新しい日本を築き上げるには教育 の力が必要であり、その一つの核として公民館の設置が提唱され、郷土再建の拠点としよう とするところから始まりました。

  公民館をイメージさせるものは、当時、文部省の社会教育課長であった寺中作雄氏が打ち 出した、寺中構想とも呼ばれている「公民館の建設-新しい町村の文化施設」です。この元 となる文部次官通牒「公民館の設置運営について」(昭和2175日付)の中で、『公民館 とは、「全国の町村に設置すること」「町村民の集合場所であること」「生活上・産業上の 指導を受ける場所であること」「お互いの交友を深める場所であること」「郷土の教養文化 の機関であること」「青年団・婦人会などの文化団体の本部であること」「町村民の自主的 要望と協力によって設置されること」』と示されています。文部省は昭和22年から補助金 を制度化し全国に公民館の設置を奨励しました。

  そして、昭和246月には、公民館を規定した社会教育法が制定され法的整備が図られ ました。その第5章「公民館」に多くの条文をついやして公民館の目的、設置者、事業、運 営方針、基準、職員、公民館運営審議会など詳細に明示されています。特に第20条には、 公民館の目的として「公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即す る教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、 情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」とう たっています。

  このことは、公民館は単なる貸館的な施設ではなく、地域住民の日常生活に密着して、そ の課題解決を図るための総合的な社会教育施設であるということを示しています。またその 運営は、地域の人々の生活に根ざして、地域住民が主人公となって行われるべきとされ、そ の意味では住民自治や住民主体の機能と性格を持った施設ともいえます。

  このような目的を持った公民館ですが、社会を取り巻く状況の変化とともに、時代時代に おいて課題も変わり、これらへの対応策として出された社会教育法の改正・各種答申等に沿 って、変遷を繰り返し現在に及んでいます。

  今日の公民館活動の目的、公民館に課せられている役割(機能)として、地域の連帯感を 醸成し、学校などの関係機関、団体、サークル等と連携して、地域に根ざした公民館活動の 展開が期待されています。





公民館の設置及び運営の基準




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