無年季的質地請戻し慣行について
下総の国葛飾郡幸谷村(現在松戸市)の事例を見てみましょう。
天保 15 年(1844 年) 1 月に、幸谷村の武左衛門は同村の万蔵に、約 300 平方メートルの 土地(万蔵の屋敷地を含む)を 3 両余りで売却しています。
この土地は、もともと万蔵家の所有地でしたが、60 年前(1784 年頃) 武左衛門家が質に 取り、その後、質流れになっていたのです。
質流れからでも、半世紀ぐらいは経っていた。
質流れ後も、万蔵は土地の管理を続けていました。
しかし、万蔵は屋敷地まで失ったことを常々残念に思っており、質流れになった土地の うち、屋敷地だけでも返してほしいと、武左衛門に頼みました。
そこで、武左衛門は、「格別の慈愛」を持って、家敷地などを売り戻すことにした
村と百姓の江戸時代
百姓たちの幕末維新