お知らせ: 2019年5月アーカイブ
「レポートトーク」と「ラポールトーク」というキーワード。
米国の言語学者デボラ・タネンがまとめた、男女によく見られる話し方の違いです。
レポートトークとは、事実をレポート(報告)するように、情報を伝えようする話法。一方の、ラポールトークの「ラポール」とは、信頼関係や感情の交流を意味する言葉。つまり、共感や心のつながりを深めようとする話法です。
男性に多く見られるのが、レポートトーク。男性は、職業人生活の中でこの話法を鍛えられます。職場での情報伝達は、感情や主観に流されず根拠を示すことを求められるため、こうした話し方に慣れると、プライベートの中でも知らず知らずのうちにそれが出てしまいます。
一方の女性に多いのが、ラポールトーク。地域や家庭、子どもなど、身近な人と「気持ち」でつながって生活する機会の多い女性は、日頃からこの話法になじんでいます。気持ちを伝え合い共感し合えば、相手との間に信頼を感じ、安心することができるのです。
この「レポートトーク」と「ラポールトーク」の違いを理解しなければ、男女が歩み寄れるはずもありません。どちらが良い悪いということではなく、コミュニケーション文化の違いなのです。
「今日、どこに行ってね。誰に会ってね」と着地点の分からない会話を続ける妻にイラつく夫は、「で、その話の結論は何?」と話の腰を折ってしまうのが常。妻にとっては「結論」などどうでもよく、ただラポールトークを楽しみたいだけなのです。
こんなとき、「そうだったのか。よかったなぁ」「会えたの久しぶりだったろう」などと同じ話法で返してあげれば、妻は「そうなのよ。話してよかった」と満足し、気持ちを受け止めてくれた夫に愛を感じるわけです。
一方の夫に対しては、事実や根拠を示し、選択肢や対策を提示して伝えてあげるのが、妻の親切というもの。「今日、ドアが壊れて困っちゃったのよぉ」といきなりラポールトークから始めるのではなく、「ドアが壊れたから、業者に電話したの。週末にカタログが届くから、一緒に選んでくれない?」と、レポートトークで語りかければ、夫も「そうか、うん。そうしよう」と快く会話に応じてくれるはず。
思わぬ事故にも粛々と対応し、分かりやすい提案をする妻に、「できる奥さんを持って幸せだなぁ」と感じるものです。