自治体における年次財務報告についての研究レポート
アメリカ地方政府の財務報告を参考に
近年,地方自治体の財政悪化を背景として,その現状を住民に認識させるため,自治体が企業会計方式の導入を謳い,バランスシートなどの財務諸表を公表するようになってきたことは,周知のとおりである。
バランスシートの作成に続いて,企業の損益計算書に相当する行政コスト計算書が導入され,自治体によって公表される財務情報は急速に充実してきたかにみえる。一方で2003 年3 月には「公会計概念フレームワーク」が公表され,自治体を含む公共部門の財務報告に係る理論的基盤が整備されつつある。
このようなわが国の動きに先駆け,アメリカでは,すでに州および地方政府の会計に関する概念書が第3 号まで,そして基準書が第42 号まで公表されている。これらの概念書や基準書が,わが国の地方自治体会計を理論的に考察していくうえで,重要な手がかりとなることはいうまでもないであろう。 (経営戦略研究 vol.3 酒井 大策)
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