公会計改革の研究: 2011年7月アーカイブ

財務諸表を活用したPREPublic Real Estate)マネジメント

自治体の資産における有形固定資産の比重が大きく、固定資産のマネジメントが非常に重要である。習志野市では、基準モデルを活用し、将来の資産更新必要額を算定している。平成20年度の連結貸借対照表における公共資産額が5571億円に対し、2008から2058年度における更新に必要な額は3785億円というものである。
 自治体が保有する不動産の課題としては、

①施設の老朽化への対応

②既存施設の維持管理費用の増加

③資産・債務改革への対応

④公債費による財政圧迫

⑤低未利用地等の荒廃

⑥余剰施設の発生等、を分析。

外部監査の指摘からも、大規模修繕計画が策定されていない。施設別の収支が把握できていない。管理委託事業者の選定が随意契約等により、落札率が高止まりしている。といった指摘がある。

 

指定管理者制度の導入

自治体が公の施設をより効率的かつ効果的に管理する「地方自治法の一部を改正する法律(平成15年法律81号)」により指定管理者制度が導入されたこれにより、民間事業者にも公の施設の包括的な管理運営についても門戸が開かれた。
 しかし、従前の管理受託者を公募、競争原理の方法によることなく選定している施設が多く、現状において、民間活力を積極的に導入し、品質向上とコスト削減に資する制度趣旨が活かされている状態には程遠い。

 

これから求められるPREマネジメントの手法
民間のCREの考え方により、企業が保有する不動産を有効活用してキャッシュ・フローおよび資産価値を向上させる手法。CREの有効活用を通じたバランスシートの効率性改善、売上増加やコスト削減および効果的なCRE管理体制の構築を実現する取り組み。行政活動に同様な取り組みを行おうとするもの。

 

主な手法として
①PREマネジメントを担う組織体制の整備
②PREの整備・たな卸し
③PREのポジショニング(方向性)・評価の実施
④PRE利活用の高度化・民間活用の推進
⑤PRE維持管理の効率化
⑥モニタリングとフィードバック

 

PREマネジメントへの財務諸表の活用
財務諸表を活用する必要性
バランスシートの活用
コスト情報の活用
(施設別行政コスト計算の例 習志野市)参照
習志野市公共施設マネジメント白書
施設の現状と運営状況の分析)2009年3月

 

まとめ
・一般的にPREが多ければ行政コストも増大する、財政の安定化の観点からは財務諸表や公会計の考え方も活用して妥当なPREと行政コストの水準を探っていくことが有効
・PREの効果的・効率的な利活用を図っていくためには、自治体全体出マネジメントサイクルを継続して実行していくことが重要
①PREマネジメントを担う組織体制の整備
②PREの整備・たな卸し
③PREのポジショニング(方向性)・評価の実施
④PRE利活用の高度化・民間活用の推進
⑤PRE維持管理の効率化
⑥モニタリングとフィードバック
・PREの利活用の高度化にはPPPと呼ばれる手法を含めて様々な手法があり、(PFI、指定管理者制度、定期借地権、公設民営等)PREのポジショニングを適切に行ったうえで、施設・用地ごとの特性を踏まえた手法を比較選択すること。

 

財務諸表を活用したPRE.pdf

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