公会計改革の研究: 2020年6月アーカイブ

2020-6-30 朝日 経済気象台


今こそ、厳格な監査を


 新型コロナウイルスによる経済活動低迷の救済のため、国を挙げた支援体制が求められている。しかし今般、国の持続化給付金事業を受注した「サービスデザイン推進協議会」が、受注金額769億円の97%の金額で、広告大手の電通に再委託をしていたという、極めて不透明な委託の実態が明るみに出た。梶山弘志経済産業相は「監査法人など外部の専門家とともに委託先や外注先を含め、支出が適切かどうかを検査する」と答えている。
 そもそも、国民の税金が国の政策実現に向けて使われる場合、金額の合理性だけでなく、使途の適切性、業務受託者の適格性、さらに予算執行結果についての説明責任が課せられていることは言うまでもない。しかし、わが国の場合、結果責任としての説明責任を厳格に履行することに対して無頓着な場合が多い。
 特に、国および地方公共団体では、政策実現に向けた予算の策定がなされると、あとは予算の執行に心血を注ぎ、使われた予算の個別事業についての評価や、支出状況の適切性を検証することはほとんどない。そのため、業務受託者も説明責任を果たすことを回避しており、責任主体も極めてあいまいになっているのが実態である。
 また、公益性の高い事業体であるかのような法人形態として、非営利法人の一種である社団法人形態での受注を促進させるような傾向もみられる。そのため、今回のような事案では監視の目をくぐり抜ける仕組みになっている。
 われわれ国民は、こうした不透明な仕組みを甘受するのではなく、税金の正しい使われ方を監視する観点からも、不正摘発に向けた会計監査の充実を求めることが喫緊の課題である。

 


 

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