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経営戦略としての人的資本開示 日本能率化協会マネジメントセンター
内容紹介
今日の株式市場において、ESG要素を重視する世界中の投資家は、企業価値創造の源泉である「人的資本」への開示圧力を強めています。そこで、本書では、ESG投資家が情報開示を切望する「人的資本」が国内外の政治経済の動向にどのような影響を与えているかを概観し、この動きが日本企業にとっても不可避な潮流であることを解説します。
人的資本経営におけるリーダーシップ、エンゲージメント、タレントマネジメント等の国内外の取組み事例を引用し、体系的にわかりやすく理解できるガイドブックです。
【目次】
序 章 人的資本の開示と企業価値の向上
第1章 資本主義の大転換―人的資本が企業価値の源泉になる第2章 人的資本開示の世界的潮流―欧州、米国、そして日本
第3章 人的資本経営の実現とHRテクノロジーの活用
第4章 会計学からのアプローチー無形資産の価値をどう捉えるか
第5章 人的資本開示分析の方法論
第6章 企業価値向上のための3つの提言
事例編 ドイツ銀行/バンク・オブ・アメリカ/スターバックスコーヒー/日立製作所/楽天グループ
はじめに
序 章 人的資本の開示と企業価値の向上
1 2022年は「人への投資の開示」元年
2 人的資本開示の衝撃 ──その背景で起きている3つのメガトレンド
3 人的資本経営と人的資本開示の関係性
4 人的資本経営とこれまでの経営との違い
5 人的資本経営の指標を選ぶ際に重要な3つのこと
6 人的資本経営におけるKGIとKPIの体系化
7 人的資本の開示が企業価値向上につながるわけ
第1章 資本主義の大転換 ─人的資本が企業価値の源泉になる
1 人的資本報告の国際規格開発と普及促進
転機となったリーマンショックによる潮流の変化
人材マネジメントにおける国際規格開発──新時代の幕開け
ISO 30414を普及促進するグローバルネットワーク
サステナビリティ開示における人的資本開示
2 ESG/サステナビリティ投資家が求める人的資本経営の本質
産業構造の変化による人的資本の重要性の高まり
日本企業の企業価値に占める無形資産価値
人的資本経営におけるデータ活用
人的資本経営における主要KPIの例
第2章 人的資本開示の世界的潮流 ─欧州、米国、そして日本
1 欧州連合(EU)の人的資本開示に関する動向
欧州連合1 非財務情報開示に関する欧州議会・理事会指令
欧州連合2 「報酬の透明性」の開示
イギリスは独自の人的資本開示強化を推進
女性活躍の先頭ランナー──アイルランドの人的資本開示
2 米国の人的資本開示に関する最新の動向
米国証券取引委員会による30年ぶりのルール改定
法整備を進める米国連邦議会──人への投資開示法0
3 急ピッチで追い上げる日本 ──2021年以降の政策動向
失われた20年を取り戻すための政策の系譜
コーポレートガバナンス・コード改訂で強調された人的資本の開示
岸田内閣の掲げる「新しい資本主義」と人的資本の開示ルール整備の動き
第3章 人的資本経営の実現とHRテクノロジーの活用
1 リーダーシップ
リーダーシップ領域は人的資本開示の最重要テーマの1つ
「リーダーシップに対する信頼」の可視化が組織を強くする
HRテクノロジーの実践活用
他の項目との関連性
2 後継者計画
真のタレントマネジメントとは
後継者有効率
後継者準備率
HRテクノロジーの実践活用
他の項目との関連性
3 タレントマネジメント(採用・異動・配置)
雇用あたりの質
内部異動率
HRテクノロジーの実践活用
4 スキルと能力
労働力のコンピテンシーレート
HRテクノロジーの実践活用
5 ダイバーシティ
コーポレートガバナンス・コード改訂におけるダイバーシティ&インクルージョンの扱い
年齢、性別、障害およびその他の要因に関する労働力の多様性
リーダーシップ/マネジメントチームの多様性
世界の最新潮流と我が国の状況
6 人的資本経営の根幹を支えるHRデータ&HRテクノロジー活用プラットフォーム
日本企業の多くが陥っているレガシーシステムの罠
世界標準の人的資本経営を支えるHCMクラウドの実際
第4章 会計学からのアプローチ ──無形資産の価値をどう捉えるか
1 人的資本経営とファイナンスの関係
見えざる資産の情報開示
ステークホルダー別Pros&Cons
人財価値を会計的に捉える
人材と人財の定義
人財バランスシート(B/S)の活用
2 インタンジブルズ─見えざる資産─とは
人的資本を見つめなおす
インタンジブルズと人的資産04:42
会計学におけるインタンジブルズの特徴とその扱い
統合報告における開示の状況
人的資産の測定における会計学アプローチとその特徴
これからの人的資産の管理・測定・開示
第5章 人的資本開示分析の方法論
1 人的資本の開示を可視化する
データソース
測定方法
人的資本の開示度の可視化──HCDIレーダーチャート
2 人的資本の開示状況を把握する ──HCDIを用いた分析
3 HCDIの留意点と今後の日本企業の課題
第6章 企業価値向上のための3つの提言
1 「人的資本の開示」の定義
2 「人的資本開示の実践」のためのフレームワーク
3 人的資本開示の実践に向けての3つの提言
提言1:経営者と人事部門による「ナラティブ」な説明
提言2:HRデータ&HRテクノロジー活用の推進
提言3:「中長期的視点」での時間軸の重要性
人的資本経営における「人事中計」策定のススメ
事例編
■ 米国企業の人的資本開示のトレンド
米国におけるルール改訂後の動向
ハーバード・ロースクールによる調査でわかったこと
CASE 1 人的資本開示の先駆的役割/ドイツ銀行
CASE 2 米国初の人的資本開示/バンク・オブ・アメリカ
CASE 3 『サステナビリティレポート』を公開/スターバックスコーヒー
CASE 4 人財戦略に関する情報開示施策への注力/日立製作所
CASE 5 『コーポレートレポート2020』による開示/楽天グループ
会計とファイナンス
ファイナンスは、企業価値を最大化することを目的とし、会社 が今後得るキャッシュをより多くするための取り組みです。
そのために、 どういった資金の出し手から、 どのような条件で資金を調達するのが良いか、 調達した資金を社内外でどのように有効活用すべきなのか、 また、事業を通して回収した資金をその提供者にどのように還 元すべきなのか、 こうした、会社にまつわるお金の流れの最適なあり方を考え、 適切な経営判断を行うために、ファイナンスの知見が不可欠な のです。
会計とファイナンスの関係をシンプルにまとめると、会計は「会 社の過去と現在の経営状況を正確に把握して管理する」ための 道具であるのに対して、 ファイナンスは「会社の将来の戦略を立てる」ために必要な道 具といえます。
会計を用いれば、過去の一定期間に会社がどれだけ儲けた か、 また、過去のある時点で、会社がどのような資産を持っていた か、を把握することはできますし、売上をどの程度上げて、経費 をどこまで削るかを考えることで、 利益の創出を最大化するための管理が可能になります。
一方で、ファイナンス的な考え方が身に付けば、 今あるお金をどのように会社の成長に結びつけるか、 また、会社がより大きな事業に取り組むために、 どこからどのようにお金を調達すべきかを考えることができるよ うになります。
会計は過去・現在を見るのに対し、ファイナンスは未来を見通 すためのものです。 定量的に自社の活動状況を把握して、正しい意思決定を下す ために、 経営管理の視点を与える会計と経営戦略の観点をもたらすファ イナンスの素養は、 経営者に限らず、ビジネスパーソンにとって不可欠な両輪であ ると言える。
『21世紀の財政政策 低金利・高債務下の正しい経済戦略 (原題)FISCAL POLICY UNDER LOW INTEREST RATES』オリヴィエ・ブランシャール著 日本経済新聞社
コロナ禍では生活保障のため多くの財政支出が行われ、さらに現在は防衛費や少子化対策費の増額も求められている。これほど政府の支出を増やして財政破綻のリスクは無いのだろうか。
本書は著名なマクロ経済学者による現代の望ましい財政政策の分析と提言である。
本書の分析はシンプルである(用語の表記はわかりやすくするため本書とは変えている)。
インフレ率を考慮した金利と経済成長率とを比較すると、政府債務は金利で増加していくが生産は経済成長率で増加するので、金利が経済成長率を下回る限り、生産に対する政府債務の割合は低下していく。
金利は世界的に見れば過去三十年間で着実に低下しており、その理由と考えられるのは中国などの成長による国際的な貯蓄増や長寿命化による将来に備えた貯蓄の増加などの構造的要因であるため、低金利は今後も続くと考えられる(著者は昨年以来のインフレや金利の上昇は一時的なものとみる)。
そのため金融政策の余地が小さくなる一方で政府債務の持続可能性のリスクは低くなっており、各国は財政政策を活用することで低迷する民間需要を補い、マクロ経済を安定化できるという。
本書では日本の一九九〇年代半ば以降の不況対策について、低迷する民間需要を積極的な財政・金融政策の活用によって補い一応の成功を収めたとして、財政支出の規模が「ちょうどよかった」例と評価している。
一方で貯蓄の減少と消費増加のための社会保険の充実、経済成長率を高める出生率改善や構造改革、そして高水準の債務に対応するため、時間をかけて財政政策を引き締め中央銀行のバランスシートを縮小していくことの必要性も同時に指摘している。
財政・金融政策については様々な主張がされているが、本書ではオーソドックスな経済学を基に、持続可能な財政の条件についてバランスのよい議論がされている。
今後の経済政策を考えるうえで読まれるべき本である。
(概要)
21世紀の財政政策 低金利、高債務化の経済戦略.pdf
SDGs時代のESG財務戦略について ダイヤモンド社
基礎編(第1章~第3章)
実践編(第4章~第8章)
実践編では、ESG/SDGsの登場によって変わりつつある近年の株式市場や企業がとるべき戦略について解説メモ。
通底する一つの大きなテーマは、財務戦略。
日本では、一見して「コスト」としてとらえがちなESG/SDGsの取り組みを、
どのような企業価値の増大、ひいては株価上昇につなげていくか。
企業情報の開示や評価機関によるESGスコアリング、企業価値評価の議論まで踏み込み、
自社のESG/SDGsへの取り組みが資本市場に最終的に評価されるヒントを探る。
もうひとつのテーマは事業戦略です。
資本市場に評価されるための道筋や、その実現に向けてどうすればよいのか
ESG/SDGs経営の実践に事業戦略と財務戦略の視点を踏まえ、企業ミッションを再定義し、ミッションを実現する道筋を事業及び財務戦略を描く。
さらに具体的に訊ねてみました。(1)
JR津田沼駅南口に習志野文化ホールを核とした商業施設、業務施設、都市公園の再開発が予定されています。施設の老朽化によるもので、野村不動産(株)がデベロッパーとして、行政(習志野市)の要望する新たな文化ホールの再築の要請を受けて行うものです。旧文化ホールについては、野村不動産に対し「信託受益権」を擁し、現在、双方による再築協議が進められています。そこで、当該再開発における、特に文化ホールの再築について、従来の開発方式(民間によって建てられた施設を行政は購入(債務負担行為)し、所有し、公益法人に運営を委託、運営助成を行う開発でしたが、これからの開発は、先のESG/SDGs投資に依拠し、民間が建設、専門に運営する会社から、行政が一定期間の利用権を行使する、いわゆる施設リースによるサブスクリプション契約が、エンゲージメント協議が重要だと思います。AIさんとして、このようなプロジェクトをどう進めるか、教示いただけると幸いです。大体のパーパス、フロー、スケジュールなど、課題や戦略、財務パフォーマンス、情報開示など、よろしくお願いします。
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このようなプロジェクトを進める際には、以下のようなフローが考えられます。
- 基本計画の策定:まずは、行政とデベロッパーが協力して、基本計画を策定します。この計画には、施設の概要や再築にかかる予算、再築のスケジュールなどが含まれます。また、民間による建設・運営の場合は、リース契約に関する条件も含まれます。
- 民間事業者の選定:基本計画が策定されたら、民間事業者を選定します。この際には、建設や運営の実績や能力、ESG投資に対する取り組みなどが評価されます。
- 施設リース契約の締結:民間事業者との間で、一定期間の利用権を行使する施設リース契約が締結されます。この際には、リース料や施設の維持管理費用、運営方針などが取り決められます。
- 再築工事の実施:民間事業者によって、施設の再築工事が実施されます。この際には、ESG投資に基づいた環境負荷の低減や、バリアフリー化などの取り組みが行われます。
- 運営の開始:再築された施設が完成したら、民間事業者が運営を開始します。この際には、行政が運営を支援することがあります。
- プロジェクトの成功は、関係ステイクホルダーへの情報開示が重要です。エンゲージメントの樹立作成、人材活用。
このように、民間による建設・運営を行い、行政が一定期間の利用権を行使する施設リース契約によって、ESG投資に基づいた持続可能な開発が実現されます。ただし、課題や戦略、財務パフォーマンスについては、具体的な案件によって異なるため、一概には言えません。各フェーズにおいて、計画策定やリスク管理などを適切に行い、プロジェクトの成功につなげることが重要です。
ESGをめぐる新たな潮流 3-27 京大セミナー
ESG要素と財務パフォーマンス(メモノート)
・財務的な価値創造と、企業価値の向上(ファイナンスの視点)
・環境ファクターと財務パフォーマンスの関係(ESGの視点)、
欧米の実証研究
近年のデータを用いた日本の実証研究
・人的資本投資(Sファクター)と財務パフォーマンスとの関係(ES Gの視点)、
日本のパイロットテスト
・企業との共同研究
SDGs
→ ESG投資へ
ESG要素 → 財務パフォーマンスの向上 → ステークフォルダー仮説
経営・ファイナンス:伝統的→ ESGの時代
ブランド(非財務)の価値創造
ESGとサステナビリティ → CGコード(コーポレイト・ガバナンスコード)
資本コストの検証
人的資本と財務価値
人的資本投資の財務インパクト:人的創造性・ROI・IRR
ダイバーシティとパフォーマンスに関する注意 → 調整変数が必要
社会的取り組みと経済的価値の相関・因果関係
ESG経営指標を可視化するシュミュレーションモデルの構築
エンゲージメント/S要素/財務Pの関係性分析と課題
資本主義を成功させるために資本主義を批判する
ESG
→ 社会的貢献
イノベーションは社会批判することで
大企業は大いに儲けよ → 利益の共有
分析データ サンプル数 → 不十分
財務データの制約(セグメント数)
エンゲージメントの調査
情報のディスクロジャー
まとめ
・資本コストを意識し、資本コストを上回る資本利益率を上げると言う財務的な企業価値の向上に取り組んできた企業がESGを重視したサスティナビリティ経営に取り組む時代になった
・データ開示が進んだこともあり、ESGレーティングやESG要素と財務指標(企業価値の主要要素)との関係性を分析する研究が増加している。
・欧米の先行研究や日本のデータ分析は、ESGを経営統合することで、企業価値が向上する可能性を示している。
・人的資本と財務指標については、エンゲージメント調査を媒介変数にすることで、企業にとって納得感がある(ポジティブ)な関係が確認できる可能性がある。そのためには、データの収集、整理と言う準備が必要、良い機会なので、各企業が取り組むことを推奨。
・ESG/従業員意識/財務指標 からなるESG経営の可視化が進んでいる。